2024年6月29日
「浄土宗の仏壇の飾り方がよく分からない」
「宗派に沿ったお供えができてないようで不安」
浄土宗は法然上人を開祖とする仏教宗派のひとつです。仏教が民衆化するきっかけになった浄土宗の仏壇は「モダン仏壇」をはじめ「唐木仏壇」や「金仏壇」などバラエティ豊かです。
それぞれの仏壇の飾り方やお供え方法をわかりやすく解説します。浄土宗の仏壇を飾る上で基本的なルールを知りたい人はぜひ参考にしてください。
目次
- 1 浄土宗のモダン仏壇の飾り方
- 2 仏壇の向きは正面が東に向くように設置する
- 3 最上段の飾り方
- 4 本尊は仏壇中央の一番高い位置に飾る
- 5 本尊の両隣に脇侍を並べる
- 6 2段目に位牌を置く
- 7 3段目は茶湯器・仏飯器・高月を置く
- 8 最下段に花立・線香立て・火立て・線香差し・リンを置く
- 9 浄土宗の金仏壇の飾り方
- 10 浄土宗で必要な仏具一覧
- 11 浄土宗のお供えの仕方
- 12 線香の供え方
- 13 灯明の供え方
- 14 花の供え方
- 15 飲食の供え方
- 16 浄水の供え方
- 17 浄土宗の仏壇・仏具の選び方
- 18 仏壇はモダン仏壇が主流
- 19 本尊は舟立阿弥陀如来が基本
- 20 鳴物はリン・カネ・木魚が基本
- 21 まとめ:お参りをする心がけが重要
浄土宗のモダン仏壇の飾り方
浄土宗におけるモダン仏壇の飾り方を解説します。ミニ仏壇や上置きタイプなど段数が少ないケースは、仏具を手前と奥に配置するなどして位置を調節しましょう。
- 仏壇の向きは正面が東に向くように設置する
- 最上段の飾り方
- 2段目に位牌を置く
- 3段目は茶湯器・仏飯器・高月を置く
- 最下段に花立・線香立て・火立て・線香差し・リンを置く
それぞれ詳しく解説します。
仏壇の向きは正面が東に向くように設置する
仏壇の向きは、正面が東に向くように設置するのが正式な方法です。浄土宗では西方に極楽浄土があるとされる「西方浄土説」を採用しており、体の正面が西に向くのが望ましいとされています。
しかし、厳格に決まっているわけではないので、部屋の間取りに合わせて場所や向きを調整して問題ありません。ただし、直射日光で仏壇が劣化しやすい場所は避けるべきでしょう。
最上段の飾り方
モダン仏壇の最上段は、浄土宗においても他の宗派と同様に非常に重要なエリアです。最上段の飾り方のポイントは、以下の2つです。
- 本尊は仏壇中央の一番高い位置に飾る
- 本尊の両隣に脇侍を並べる
詳細を順番に説明します。
本尊は仏壇中央の一番高い位置に飾る
浄土宗に限らず、本尊は仏壇中央の一番高い位置に飾ります。本尊は各宗派で最も大切にされている信仰対象のためです。
浄土宗の本尊は、正式名称を舟立阿弥陀如来と呼ばれる、舟型の後光が付いた立像です。直ちに人を救おうとする姿勢のため少し前に傾いています。
現代の本尊は仏像タイプとスタンド型掛軸がありますが、どちらを選んでも問題ありません。
本尊の両隣に脇侍を並べる
本尊の両脇には、脇侍(きょうじ・わきじ)として向かって左に法然聖人、右側に善導大師を飾ります。
左の法然上人は、浄土宗の開祖です。殺された父の遺言によって出家し、比叡山にて浄土宗を開きました。
右の善導大師は、法然上人や親鸞上人に影響を与えた中国浄土教の僧侶です。法然上人が毎日念仏を称えていたところ、善導大師が現れて説法をしたという言い伝えがあります。
脇侍は本尊よりも高くならないよう、仏像や掛軸の高さに注意しましょう。
2段目に位牌を置く
浄土宗は位牌を設ける宗派です。基本的に最上段から一段下が位牌の位置ですが、本尊よりも低く設置します。
位牌(いはい)とは、故人の戒名(法名、法号)と没年月日・俗名・行年(享年)を記した木の札です。位牌を飾らない宗派もありますが、浄土宗は位牌をお祀りする宗派です。
浄土宗では、人が亡くなると、四十九日目の法要である満中陰(まんちゅういん)までに位牌を作ります。位牌に刻む人数は一人彫り(一人用)と夫婦彫り(二人用)があります。位牌を飾る位置は、仏壇の上から2段目です。位牌の位置は、本尊の目線の位置より位牌の最上部が下にあることが理想です。
位牌が2個以上ある場合は、古い方を上座である向かって右はしに飾ります。位牌の大きさは基本的に仏壇のサイズに合わせることが多く、最近のモダン仏壇に納めるサイズとしては4.0寸が一番多いサイズです。ご先祖の位牌がすでにある場合は、その位牌と同じか少し低いものを選びます。位牌サイズの「寸」は位牌の総高ではなく、札板(文字を書く部分)の高さを指しています。
3段目は茶湯器・仏飯器・高月を置く
3段目に飾る仏具は以下の通りです。
- 茶湯器:水やお茶を供える仏具
- 仏飯器:お供え用のご飯を盛るための仏具
- 高月:菓子や果物などを供えるための台
中央には茶湯器(ちゃとうき)と仏飯器(ぶっぱんき)を飾ります。茶湯器は水やお茶を供える仏具で、仏飯器はお供え用のご飯を盛るための仏具です。高月は1対なら両サイドに置きます。ひとつなら左右どちらでも構いません。
最下段に花立・線香立て・火立て・線香差し・リンを置く
最下段には、左から以下の仏具を配置します。
- 花立:お花を供えるための花瓶
- 線香立て:線香を立てるめの器(香炉)
- 火立て:ロウソクを立てるための容器
- 線香差し:線香を箱から小出しに出しておく容器
- リン:読経の際に音を鳴らす鳴物の一つ
5つの仏具がありますが、線香立てやローソク立ては火を使うので手前に引き出して使える前引き(スライド式仏具板)があればそちらに置いて、まわりの仏具との間隔をあけてお使いください。火の用心が大切です。毎日お参りの前に鳴らすりんは、心地よく響く音色の良いものを選びたいものです。
浄土宗の金仏壇の飾り方
金仏壇とは、全体に黒のうるし塗りが施され、内部に金箔が張ってある仏壇です。金仏壇の飾り方は、モダン仏壇より丁寧な形、わかりやすくいうと仏具の数が多くなります。仏壇はお寺の縮小版なので、金仏壇のほうがデザイン的にもよりお寺に近い形になります。モダン仏壇と同じく最上段にはご本尊や脇侍を並べ、その下段には茶湯器・仏飯器、線香立てや火立て、花立やリンを並べるところは同じです。
モダン仏壇との一番の違いは、天井からダウンライトで仏壇内を照らすモダン仏壇と違い、天井から吊り灯篭を使って仏壇内を灯します。また屋根から瓔珞(ようらく)を吊り、仏壇内を絢爛豪華な空間にするように飾ります。仏壇は、お寺の縮小版という意味合いから、仏具のデザインも荘厳な雰囲気になるようなものが選ばれます。
浄土宗で必要な仏具一覧
浄土宗の仏壇には多種多様な仏具が存在します。仏壇の仕様によって、重要なものから順番にそろえていくとよいでしょう。以下に、必要度順にそろえるべき仏具を掲載したので、ご覧ください。
必須のもの | 本尊・位牌・線香立て・花立・火立て・茶湯器・仏飯器・リン |
あった方がよいもの | 脇侍・高月・過去帳・見台・仏器膳・常花・線香差し |
過去帳(かこちょう)とは亡くなられた方の俗名(生前の名前)・戒名(法名)・亡くなられた年と日付・年令(享年・行年)を書き記した帳面の事です。先祖代々の故人の名前が記されている帳面なので、家族の系譜が記された家系図ともいえます。
見台(けんだい)とは過去帳を飾るための専用の台で、過去帳を閉じても開いても置くことができます。
仏器膳(ぶっきぜん)とは茶湯器や仏飯器をのせて、一段高くして仏様にお供えするためのお膳です。
常花(じょうか)とは仏教の世界で最上の花とされ、永遠に咲き続けるという意味のある蓮の花をかたどった金属製の花です。
浄土宗のお供えの仕方
お供えは、先祖や故人への感謝を伝えるものです。五供(ごくう)の考えに基づき、香・灯明・花・飲食(おんじき)・浄水の5つを供えます。以下では、五供それぞれの供え方のポイントを解説します。それぞれの意味やタイミング・使用する仏具なども説明するので、押さえておきましょう。
線香の供え方
線香の香りはその場だけでなく、お参りする人の心を清めます。故人に挨拶する礼儀ともいえる線香には、香喰(こうじき)という考えに基づいた仏様のご飯としての役割もあります。
水やご飯などのお供えをした後、ロウソクから火をもらう形で線香に火をつけ、線香立てに立てましょう。浄土宗では線香の本数に決まりはありません。お線香の香りは仏様やご先祖様のご馳走になりますので、香りのよい線香をお供えします。
灯明の供え方
灯明とは、神や仏に供える火のことです。闇を照らす火は「仏様の智慧(ちえ)」としても例えられ、非常に重要なものとして考えられてきました。
お参りの始めに、火立てにロウソクを立て、マッチやライターを使用して火をつけます。お参りが終わったら、手であおぐか火消しを使ってロウソクの火を消します。
灯明は線香に次いで重要なお供え物であり、息を吹きかけて消すのはマナー違反です。
火の取り扱いには十分な注意が必要です。最近は電池で灯るロウソク立てなども仏具店で販売されています。
花の供え方
花は代表的なお供え物のひとつです。そもそも花を贈ることは、昔から感謝や敬意を表す行為とされてきました。故人は花の香りを好むと考えられたことにも由来します。
毎朝お参りの前に、花立を活用して新鮮なお花を飾り又は花立の水の交換をします。花立と花が1対1の長さになるようにカットし、お参りする自分側に向けて挿しましょう。
近年は、頻繁に取り換えなくてもよいようプリザーブドフラワーをお供えするケースも増えています。
飲食の供え方
飲食とは、ご飯のお供え物のことです。同じ食べ物を頂くことで、仏様や先祖と繋がれるとされます。
炊きたてのご飯の一膳目をお供えします。毎日ご飯を炊かない場合は、ご飯を炊いた時にお供えしましょう。仏飯器は仏壇には直接乗せず、仏器膳(お膳)に乗せて差し上げるとのが丁寧ですし仏壇に傷がつきにくくなります。
浄水の供え方
浄水は、水もしくはお茶を供え、毎日食べ物や飲み物に困ることなく生活できていることに感謝することです。心を洗う意味もあります。
水やお茶は仏壇中段に置き、毎朝お経を唱える前にお供えします。茶湯器を仏壇に直接乗せず、茶台や仏器膳(お膳)に乗せてお供えすると丁寧です。
浄土宗の仏壇・仏具の選び方
仏壇にはコンパクトな上置きタイプや本格的な床置きタイプがあり、サイズに合わせて仏具を選ぶとスムーズです。浄土宗の仏壇・仏具を選ぶポイントは以下の通りです。
- 仏壇はモダン仏壇か唐木仏壇、金仏壇
- 本尊は舟立阿弥陀如来が基本
- 鳴物はリン・カネ・木魚が基本
それぞれ詳しく解説します。
仏壇はモダン仏壇が主流
現在の浄土宗における仏壇の主流はモダン仏壇ですが、伝統的な唐木仏壇や金仏壇もそれぞれの良さがあります。
モダン仏壇は、日本の都市型住居に合うようなデザイン性とインテリア性を兼ね備えています。唐木仏壇は、貴重な銘木の黒檀や紫檀を使用した美しい木目や手の込んだ彫刻が特徴の重厚な仏壇です。金仏壇は金箔を使い一番忠実に絢爛豪華な浄土の世界を表現している仏壇といえるでしょう。
現在は仏壇にもさまざまなデザイン・スタイルがあるため、選択肢は豊富にあります。自宅の仏壇を設置するスペースや和室に置くか、リビングに置くかなどお部屋との調和、予算など、総合的に考えてどの仏壇がよいか選びましょう。
本尊は舟立阿弥陀如来が基本
浄土宗の本尊は舟形の光背を背負った阿弥陀如来像であり、正式名称は舟立阿弥陀如来です。
脇侍も本尊と同じ最上段に飾りますが、あくまで本尊がメインとなるように高さやバランスを考えて設置しましょう。
位牌も本尊より低く設置するのが一般的です。最上部が本尊の目線の位置より下になるように、位牌のサイズや位置を考慮しましょう。ですが田舎で昔から大きな仏壇を祀っていて引っ越して小さい仏壇に買い替えする場合、たいてい大きな位牌があると思いますので、その場合は本尊より上になっても問題ございません。ご先祖のお位牌を大切にお祀りしましょう。
鳴物はリン・カネ・木魚が基本
浄土宗に使われる鳴物は種類が多くわかりにくいかもしれませんが、リン・カネ・木魚が基本です。仏具の鳴物の役割は「空間を清め邪気を払うもの」と「お経を唱える合図やリズムをとるもの」の2つの意味があります。
モダン仏壇ではリンをそろえておけば問題ありません。唐木仏壇や金仏壇ではリン・カネ・木魚すべてそろえるのが望ましいです。
まとめ:お参りをする心がけが重要
浄土宗の仏壇の飾り方を中心にモダン・金仏壇の飾り方やお供え方法を紹介しました。現代ではシンプルな飾りをするモダン仏壇も普及しており、詳しくない人でも飾りつけをしやすくなっています。
実物を確かめながら、特色などを仏壇店でじっくり聞いてみるのも失敗しない仏壇選びのコツです。
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大手の仏具店の同じ仏壇と比べても20~30%程度の低価格を実現しています。低価格の理由は余計な間接コストをカットしているためであり、店舗の豪華な内装や広告に余計なコストをかけていないため実現できています。
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